ECビジネスにおいて、口コミはユーザーの購買判断に大きく影響する重要な情報源です。2025年に公開された株式会社ラクスの調査によると、約9割のユーザーがECサイトのレビュー・口コミを参考に購入を決めているというデータがあります。
本記事では、ECにおける口コミ対策の重要性、口コミを増やすための施策、そしてネガティブレビューへの対処方法などを紹介します。

ECサイトの口コミが重要な理由
ブランドや商品の信頼が高まる
口コミは消費者にとって、同じ立場にあるユーザーの声であるため、企業の一方的な広告や商品説明に比べて信頼しやすい情報となります。また、利用者の声は製品やサービスの使用イメージを具体的に想像しやすくし、購入意欲を高める効果もあります。さらに、ユーザーのリアルな意見が蓄積されることで、ブランドや商品の客観的で信頼性の高い評価につながります。
製品・サービスの改善に活かせる
ユーザーからの購買・使用体験のフィードバックを直接得られる口コミは、商品やサービスの改善に活かせる貴重な情報です。「購入者がどのような点を高く評価しているか」を分析すれば今後も伸ばすべき強みが明確になり、ネガティブなレビューからは起こりやすい不具合や利用者の不満点を見つけることができます。
コンテンツとして活用できる
口コミは、効果的なマーケティング資産となります。メルマガ、SNSなどのWeb広告、LPなど、カスタマージャーニー上のさまざまな顧客接点で、ユーザーのリアルな声を紹介するコンテンツとして活用できます。さらに、Google(グーグル)などの検索エンジンは消費者レビューを掲載しているサイトを高く評価する傾向があるため、SEO対策の強化にもつながります。
拡散効果がある
共感を呼ぶ口コミは、SNSを通じて短時間で多くの人へ拡散される可能性があります。購入者にSNSでの口コミ投稿を促すことで、シェアやリポストを通じて、その友人・知人へも広がることが期待できます。また、口コミに返信するなど、ユーザーとコミュニケーションをとった履歴が残ることで、自社やブランドの価値観などを発信するブランドポジショニングにも効果を発揮します。
費用対効果が高い
口コミは、顧客による自発的な投稿であるため、コンテンツを作成するコストや手間が必要ありません。ユーザーによるポジティブなレビューは訴求力が高く、購買意欲の向上にもつながります。また、口コミを蓄積しておくことで、ニーズを把握するためのマーケティングや製品テストにかかる手間も削減できるなど、さまざまな面からデジタルマーケティングの費用対効果を高めてくれます。

ECサイトの口コミを増やす8つの方法
- 質の高い製品・サービスと購買体験を提供する
- 口コミを依頼するリーフレットを同梱する
- 最適なタイミングで口コミ投稿をリマインドする
- 口コミを投稿しやすいサイト構成にする
- 口コミに返信・対応する
- 投稿のインセンティブを提供する
- SNSで投稿キャンペーンを行う
- 口コミサイトに登録する
1. 質の高い製品・サービスと購買体験を提供する
質の高い口コミを増やすには、顧客満足度の高い製品・サービスと、それに伴う一連の購買体験を提供することが重要です。そのためには、自社の提供価値を分析し、顧客満足度の向上に継続的に取り組む必要があります。
2. 口コミを依頼するリーフレットを同梱する
商品配送時に口コミ依頼のリーフレットを同梱物として入れることで、投稿の認知を高められます。また、投稿ページへアクセスするためのQRコードを記載しておくなど、ユーザーが口コミを投稿する際のハードルを下げるような工夫も効果的です。
3. 最適なタイミングで口コミ投稿をリマインドする
口コミを増やすには、購入後に適切なタイミングでリマインドすることが有効です。ユーザーが使用感を把握した頃にお礼メールを送り、口コミ投稿を依頼することで、投稿率を高められます。
製品特性に合わせて、以下のような送信タイミングを設定することが重要です。
- 季節的な需要がある商品:タイムリーな性質があるため、製品到着後7日以内にレビュー依頼メールを送信
- 化粧品・衣料品・食品などの生鮮品:使用開始までの時間が短いため、 14日以内に送信
- 冷蔵庫・洗濯機などの耐久消費財:使用感が固まるまで時間がかかるため、 21日後 に依頼
4. 口コミを投稿しやすいサイト構成にする
口コミを増やすには、ユーザーが投稿しやすいWebサイト構成にすることが重要です。入力項目が多いフォームは投稿が完了しないうちの離脱につながるため、評価とコメントなど最小限の項目に絞ることが効果的です。
さらに、GoogleやFacebook(フェイスブック)アカウントを活用した簡易ログイン、レビュー所要時間の明示などを行うことで、投稿のハードルを下げられます。
5. 口コミに返信・対応する
口コミへの返信・対応は、ネットショップの信頼性を高める効果をもたらします。特に、高評価・低評価を問わず公平に対応する姿勢は、他の潜在的な投稿者にも好意的に受け止められ、新たな口コミや顧客の獲得にもつながります。
6. 口コミ投稿のインセンティブを提供する
口コミを増やすには、投稿のお礼としてインセンティブを提供する方法も有効です。無料サンプル、次回購入時の割引、ポイント付与などの特典を用意することで、ユーザーの投稿意欲を高められます。
7. SNSで投稿キャンペーンを行う
SNS上で、投稿を条件に応募者の中から抽選で特典を付与するキャンペーンを実施することで、口コミ投稿を集めることができます。例えば、指定のハッシュタグを付けて投稿すると参加できるといった方法があります。
8. 口コミサイトに登録する
多くのユーザーが登録している口コミサイトへ出品・出展することで、自社の認知度が高まり、口コミ投稿の獲得にもつながります。

ECの口コミ基本対策
迅速に返信する
口コミには、投稿されてからできるかぎり24時間以内に返信しましょう。投稿後スピーディーに反応することで、ユーザーとの信頼構築につながります。
丁寧に対応する
口コミへの返信は、丁寧な言葉づかいで、誠意が伝わるようにすることが大切です。投稿者の気持ちに寄り添い、レビューへの感謝を伝えることで、好印象を与えることができます。
専任の担当者を設ける
口コミへの対応を最適化するためには、組織内に専任担当者を設けることも効果的です。また、複数人で対応する場合は、担当者によって対応がばらつかないよう、マニュアルを作成しておくと良いでしょう。
定型文を極力使わない
口コミへの返信が使いまわしの定型文だと認識されると、投稿者は個別に向き合ってもらえていないと感じ、誠意が伝わりません。テンプレートであっても、内容を少しカスタマイズすることで、顧客に与える心象を向上できます。
ネガティブレビューへの対処法
迅速に謝罪する
ネガティブレビューへの対処では、まず謝罪の姿勢を示すことが重要です。さらに、必要に応じて返品対応や交換などの個別対応を柔軟に行うことで、信頼回復につながります。
改善策を実施し公開する
改善した結果を公開することで、企業としての透明性と信頼性を高められます。
例えば、次のような対応が考えられます。
- 商品の品質に関する不満:商品説明の見直し、品質改善の検討
- 配送の遅延:配送サービス業者との連携強化、遅延時の通知体制の整備
- カスタマー対応への不満:スタッフ研修の実施、対応マニュアルの改善
公正な対応をする
嫌がらせの疑いがある場合は、まず事実確認を行い、公正な態度で対処することが重要です。ECサイトの利用規約やコミュニティガイドラインを確認し、コメントが規定に違反しているかを確かめます。プラットフォームに報告機能がある場合は、運営側に報告して対応を依頼しましょう。
また、必要に応じて公式に返信することで、冷静で誠実な対応姿勢が伝わり、第三者からの信頼にもつながります。
ECで活用できる口コミ・レビューサイト
価格.com
価格.com(カカクドットコム) は、家電やPCから引越し・金融商品まで幅広いジャンルの価格比較・クチコミ・ランキング情報を提供する、生活密着型の比較サービスです。
- 口コミの特徴:掲示板への投稿はすべてスタッフが目視で確認しており、広告目的などガイドラインに違反する投稿は削除しているため、信頼性が高いです。
- 料金(掲載):月額10,000円(税別)+ワンクリック10円~(商品により変動)
楽天
楽天は、生活雑貨、アパレル、食品・生鮮品、健康食品、化粧品、家電製品・パソコンなど、幅広いジャンルの店舗を出店できるショッピングモールサイトです。ユーザー数の多さが特徴で、楽天IDは1億以上発行されています。
- 口コミの特徴:楽天市場には「ショップレビュー」と「商品レビュー」があり、評価データを活用した広告配信やメルマガ訴求が可能です。レビュー管理画面では投稿内容を集計・分析でき、顧客の評価ポイントや不満点を把握できます。
- 料金(出店):初期登録費用60,000円+25,000円/月額+その他システム利用料(売上・端末により変動)
Amazon
Amazon(アマゾン)は、本・日用品・ファッション・食品・ベビー用品など、約1億種類の商品の取り扱いがあります。
- 口コミの特徴:AmazonのECサイトでは、取り扱う商品に関する意見や感想を投稿できます。また、多くのユーザーが共通して触れている特徴や、ポジティブ・ネガティブ双方の評価をAIが短い文章に要約してくれる機能も備わっています。
- 料金(出品):月額4,900円(税抜)+ 販売手数料
Googleショッピング
Googleショッピングの検索結果に、Googleが指定する方法を経由することで、自社ECサイトのレビューを表示させることができます。
- 口コミの特徴:Googleショッピング広告やGoogle無料リスティングには、1〜5段階の星評価を表示できます。商品評価プログラムに参加するには、全商品で50件以上のレビューが投稿されている必要があります。
- 料金:広告表示無料/クリックごとに数十円〜数百円程度
@cosme
@cosme(アットコスメ)は、女性ユーザーからの認知度が高く、約1,940万件の口コミが集まる国内最大級の美容情報サイトです。
- 口コミの特徴:口コミは24時間365日体制で監視されており、独自の集計によって作られる公正なランキングで運用されています。
- 料金(登録・掲載):無料
Yahoo!ショッピング
Yahoo!(ヤフー)ショッピングは、QRコード決済サービスのPayPay(ペイペイ)やPayPayカードなどの顧客基盤の大きさを強みとするショッピングモールサイトです。ファッション、食品、日用品、家電など幅広いジャンルで出店されています。
- 口コミの特徴:口コミは「商品レビュー」と「ストア評価」の2種類に分かれています。また、「売上規模」「配送・発送」「キャンセル率」などのストア運営状況の指標をもとに、一定の基準をクリアすると「優良店」として認定されます。
- 料金(出店):初期費用・月額費用無料、月商に対して約6%程度の手数料
Shopifyストアに口コミ機能を追加する方法
Shopify(ショッピファイ)のストアでは、以下の6つのステップで簡単に口コミ機能を追加することができます。
- Shopify管理画面で、[オンラインストア] > [テーマ]に移動します。
- 編集したいテーマを見つけて、[カスタマイズ]をクリックします。
- レビューを追加したい商品テンプレートに移動し、[セクションを追加]をクリックします。
- ドロップダウンメニューのアプリセクションから[レビュー]アプリブロックを選択します。
- 表示させたい場所にアプリブロックを移動します。
- [保存]をクリックします。
このほか、Shopify向けに開発された日本語対応の口コミアプリを活用することもできます。
- TrustWILL(トラストウィル):日本市場向けに最適化された多言語対応のレビューアプリ。自動レビュー依頼やGoogleレビュー連携、コメントの自動翻訳機能により、インバウンドマーケティングに最適。
- PoingPong(ポインポン):ポイントとレビューが連動し、顧客ランク・リピート購入・特定タグなどに応じたキャンペーンを実施できるアプリ。
- Product Reviews(プロダクトレビュー):購入後に自動送信されるレビュー依頼メールや、投稿者への割引クーポン提供によるレビュー促進が可能なアプリ。AIによるレビュー要約・返信・翻訳機能を活用した、多言語レビュー管理の効率化も可能とする。
口コミ対策の注意点
口コミ対策がしやすいECサービスを選ぶ
口コミ対策を行うには、対応しやすいサービスを選ぶことが重要です。ECサービスによっては口コミ機能を追加できない場合もあるため、あらかじめ標準搭載の有無や、オプション費用でアプリを追加してカスタマイズできるかを確認しておく必要があります。
自作自演をしない
企業がユーザーになりすまして口コミを投稿する行為は、ステルスマーケティング(ステマ)と判断されます。ステマが発覚するとSNSで炎上するなど、企業の信頼を大きく損なうリスクがあります。さらに、自作自演の口コミはガイドライン違反となり、口コミ削除やアカウント停止などのペナルティを受ける可能性もあります。
口コミ操作をしない
口コミサイトで、金銭などの報酬を支払うといった不当な方法でレビューを獲得しようとした場合、操作行為や契約条項・ガイドライン違反と判断されることがあります。その際は、アカウントの即時停止・終了、レビューの削除、商品の出品停止などの措置が取られる可能性があるため注意が必要です。
万が一の対応策を事前に決めておく
SNSで口コミが拡散し炎上した場合に備え、いつ・誰が・どのように対応するのかをあらかじめ定めておくことが重要です。

口コミサイトの分析方法
頻出ワードを抽出する
口コミテキストから頻出ワードを抽出し、商品・サービスの長所や短所を把握します。例えば「使いやすい」「デザインが良い」などは強み、「壊れやすい」「対応が遅い」などは改善点として捉えられます。
競合を比較する
競合の口コミと比較することで、自社の強みや差別化ポイントを明確にできます。例えば競合が「コスパが良い」と評価され、自社は「高品質だが高い」と評価されている場合、価格戦略や付加価値訴求の見直しが必要と判断できます。
評価推移を分析する
口コミ評価の変化を時系列で確認し、課題を特定します。発売直後は高評価でも、後に「耐久性が低い」「サポートが不十分」といった声が増えれば、品質やアフターサービスの改善が必要とわかります。
まとめ
ECサイトの口コミは、顧客と直接コミュニケーションを取り、信頼関係を築くための効果的な手段です。コンテンツとしての価値も高く、メールマガジンやLPなどのマーケティング施策に活用できるほか、リアルなユーザーの声をもとにした競合分析や製品・サービスの改善にも役立ちます。
口コミを増やすためには、投稿インセンティブの提供や、投稿への丁寧な返信・対応といった取り組みが有効です。また、ネガティブな口コミに対しても誠意を持って適切に対応し、炎上を防ぐためのルールやフローを日頃から整えておくことが欠かせません。
ECサイトの口コミ対策は、継続的な取り組みを積み重ねることで、その効果を長期的に高めることができます。
口コミ対策に関するよくある質問
ECサイトの口コミ対策が重要な理由は?
- ブランドや商品の信頼が高まる
- 製品・サービスの改善に活かせる
- コンテンツとして活用できる
- 拡散効果がある
- 費用対効果が高い
ECサイトの口コミを増やす方法は?
- 質の高い製品・サービスと購買体験を提供する
- 口コミを依頼するリーフレットを同梱する
- 最適なタイミングで口コミ投稿をリマインドする
- 口コミを投稿しやすいサイト構成にする
- 口コミに返信・対応する
- 投稿のインセンティブを提供する
- SNSの投稿キャンペーンを行う
- 口コミサイトに登録する
ネガティブな口コミへの対処方法は?
- 迅速に謝罪する
- 改善策を実施し公開する
- 公正な対応をする
口コミの掲載に最適な場所は?
- 商品ページ:各商品の説明と共に口コミを配置
- 放棄カートのリマインドメール:カートに入れた後、購入せずにいるユーザーへのリマインドメールに口コミを記載
- SNS:公式アカウントのフィード投稿やストーリーにレビューを掲載
- SNS広告:広告の画像やキャプションに口コミを記載
- LP:クリックボタンの上に口コミを配置
- メルマガとLINE:新商品のレビューや特定商品の高評価レビューを配信
文:Takako Kasai





