安定した収益基盤の構築を目指す企業にとって、サブスクリプションや定期購入といった継続課金の導入は有力な選択肢の一つです。購入のたびに決済手続きを行う必要がない仕組みは、顧客の利便性を高めるだけでなく、事務負担の軽減や売り上げの安定にもつながります。
本記事では、継続課金の基本的な仕組みやECストアへの導入メリット、決済手段の種類を解説します。継続課金システムを選ぶ際のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

継続課金とは
継続課金とは、サービスに登録すると、利用者が解約手続きを行わない限り契約が自動更新され、あらかじめ定められたサイクルで料金が発生する仕組みです。料金体系には、一定額を定期的に支払う定額制のほか、利用量に応じて料金が変動する従量課金制などがあります。支払いサイクルも、月額や年額など複数の形式が存在します。
継続課金と月額課金の違い
月額課金は継続課金の一つで、毎月固定の金額を支払う方式です。動画配信サービスやクラウド型ソフトウェア、ウェブサービスなどで広く採用されています。
月額課金と都度課金の違い
月額課金は、毎月、自動的に請求される料金方式である一方で、都度払いは商品やサービスを購入するたびに料金が発生する方式です。買い切り型であるため、支払いが完了すればその取引は終了し、追加の請求は発生しません。日常の買い物やECストアでの衣類・家電などの購入が該当します。
このように、月額課金は継続的に収益が発生するストック型モデルであるのに対し、都度課金は販売件数に応じて売り上げが積み上がるフロー型モデルといえます。都度課金では販売数の増加が売上拡大に直結する点が特徴です。

継続課金の導入に適した業種
継続課金の導入に適したビジネスの一例は以下のとおりです。
- ソフトウェア/SaaS:クラウド型業務システムやアプリケーションなど、継続的な利用を前提とするサービス
- デジタルコンテンツ配信:動画や音楽配信、電子書籍やニュースアプリなど、コンテンツを継続的に提供するビジネス
- 教育・学習支援サービス:オンライン講座、学習塾、カルチャースクール、情報誌など、知識やスキルを継続的に提供するサービス
- フィットネス・施設利用型サービス:スポーツジムなど、定期的な来店・利用を前提とするビジネス
- 美容・定期来店型サービス:脱毛サロンやエステなど、複数回の施術を前提とするサービス
- 定期購入型EC:健康食品、化粧品、日用品など、継続使用が想定される商材を扱うEC
- 会員制・コミュニティ型サービス:オンラインコミュニティ、会員制サロン、限定コンテンツ提供サービスなどのビジネス
これらの分野は月額・年額課金モデルが定着しており、売り上げの安定化やLTV(顧客生涯価値)の向上を図りやすいのが特徴です。

継続課金をECストアに導入するメリット5つ
1. 売り上げの長期的な安定化
定期的な収益が見込める継続課金モデルは、キャッシュフローの安定につながります。利用頻度に左右されにくい価格設定が可能なため、単発購入と比べて売り上げの変動が小さく、売上予測が立てやすいためです。
継続課金を取り入れ売り上げを安定させることで、設備投資やマーケティング戦略の実施が容易になり、持続的な事業運営が図れます。
2. 未入金・代金未回収リスクの低下
クレジットカードなどの自動決済を活用することで、請求漏れや回収遅延を防ぐことができます。未入金リスクを抑え、安定した資金回収につなげられるのは、継続課金モデルの強みです。
また、顧客にとっても支払い忘れによる信用低下を回避でき、利便性の向上につながるため、企業と顧客の双方にメリットがある仕組みです。
3. 請求・入金管理業務の効率化
継続課金システムを導入することで、請求書発行や入金確認などの事務作業を削減できます。人的コストの削減に加え、ミスの防止や業務効率化につながります。
4. 顧客の利便性向上
定期購入により顧客は都度注文する手間がなくなり、利便性の高いサービス提供が図れます。特に消耗品や継続使用を前提とする商品では、買い忘れ防止につながり、顧客満足度の向上や長期的な関係性の維持を期待できます。
5. 新規顧客の獲得率向上
継続課金モデルは、コンバージョン率の向上や新規顧客の獲得にも効果的です。少額の月額プランや初回割引、無料トライアル期間を設定することで、サービスを体験してもらいやすくなり、商品やサービス購入の心理的ハードルを下げることができます。

継続課金に適した決済方法
クレジットカード決済
クレジットカード決済は継続課金で最も主流な決済方法で、多くの決済代行サービスで対応しています。クレジット決済では、利用額に応じてポイントやマイルが付与されるため、顧客にお得感を訴求できます。
ただし、初回はクレジットカードを登録する手間があるうえ、有効期限切れによる未回収のリスクもあります。安定した回収を図るには、カード情報を自動更新できる「洗い替えサービス」の導入が効果的です。これにより決済失敗を防ぎ、顧客の手間や未回収リスクを軽減できます。
キャリア決済
キャリア決済は、スマートフォンの通信料金と合算して支払う決済方法です。クレジットカードを保有していない利用者や若年層でも利用しやすく、定期購入やサブスクリプションへの登録ハードルを下げる効果があります。
一方で、決済手数料がクレジットカード決済と比較して高くなる傾向があるため、導入時にはコスト面の検討が必要です。
口座振替
口座振替は、顧客の銀行口座から、あらかじめ指定した日に自動で引き落としを行う決済方法です。クレジットカードを保有していない利用者や、オンライン決済に抵抗がある層に利用されやすいのが特徴です。公共料金や教育関連サービスなど、継続性と信用性が重視される分野で広く採用されています。
ID決済
ID決済は、Apple Pay(アップルペイ)やPayPal(ペイパル)など、アカウントと連携して支払う決済方法です。あらかじめ登録された情報を利用できるため、氏名や住所の入力を省略でき、決済完了までの工程を短縮できます。カゴ落ち防止に効果的です。
払込票
払込票は、請求書などに記載されたバーコードを用いて、コンビニで支払う決済方法です。クレジットカードやオンライン決済を利用しない層にも対応可能ですが、払込票を紛失した場合、再発行が必要となる点には注意が必要です。

継続課金システムを選ぶ際のポイント
定額課金モデルやサブスクリプションを導入するなら、継続課金システムが便利です。次のようなポイントを押さえて、自社に最適なシステムを選びましょう。
多様な決済手段に対応しているか
継続課金システムを選ぶ際は、決済方法が豊富に用意されているかを確認することが重要です。自社のビジネスモデルに最適な決済方法を選べるだけでなく、顧客の利便性を考慮した決済手段の提供につながり、顧客満足度の向上や継続利用が期待できます。
例えば、クレジットカードはオンラインサービスの基本となる決済手段であるため、導入が必須です。一方で、カード利用に抵抗がある層が顧客に多い場合は、口座振替に対応している決済システムを検討すべきでしょう。
また、少額のデジタルコンテンツや若年層向けサービスを提供している事業者なら、キャリア決済やID決済を提供している課金システムを選ぶことで、コンバージョン率の向上が期待できます。
ワンクリック決済を導入しているか
ワンクリック購入システムが導入されているかも、課金システムを選ぶ際の重要なポイントです。決済情報と会員情報を一度紐づけることで、2回目以降は自動で決済できるため、顧客の利便性や購入率の向上も期待できます。
また、オムニチャネル展開や複数サービスを運営している場合、サービスやチャネルをまたいで複数の継続課金や追加購入が発生しやすくなります。ワンクリック決済を導入し一つの会員情報で決済できるようにすれば、顧客の手間を最小限に抑えられます。
洗い替えサービスが利用できるか
洗い替えサービスに対応している課金システムを導入すれば、未回収のリスクを最小限に抑えられます。クレジットカードの有効期限切れなどによる決済失敗は、顧客離脱の原因になりやすく、決済エラーが発生すると、それをきっかけに利用が中断されるケースも少なくありません。
洗い替えサービスがあれば、カード情報を自動的に更新し決済成功率を維持できるため、決済トラブルによる機会損失を防ぎ、継続率の安定化につながります。
契約・料金設定に柔軟性があるか
料金設計の自由度が高いほど販売施策の幅は広がるため、課金のタイミングや期間、金額を柔軟に設定できる機能は、継続課金において重要です。例えば、初月半額や初回無料といった課金設定ができれば、新規顧客の獲得に向けたキャンペーンが実施できます。
定期購入を前提としたビジネスモデルでは、柔軟な価格設定が集客効果を高める要素となります。
まとめ
継続課金は、安定した収益基盤の構築と顧客との長期的な関係性の維持を両立できるビジネスモデルです。定期的な収益を見込めるため、キャッシュフローの安定化やビジネスプランの精度向上につながります。
一方で、継続率を維持・向上させるためには、適切な決済手段の導入やワンクリック決済への対応、洗い替えサービスの採用など、ユーザー体験を損なわない仕組みづくりが不可欠です。決済トラブルや手続き上の負担は、顧客離脱の要因となり得ます。
継続課金システムを選定する際は、自社のビジネスモデルやターゲット層に適しているかを見極めたうえで、機能性と運用効率の両面から検討することが重要です。適切な仕組みを整えることで、継続率の向上とLTVの最大化を実現できるでしょう。
継続課金に関するよくある質問
Shopifyでの継続課金の設定方法は?
Shopify(ショッピファイ)での継続課金の設定方法は以下のとおりです。
- Shopify App Storeで「Shopify Subscriptions」をインストールする
- Shopifyの管理画面から「商品管理」に移動する
- 定期購入商品をクリックする
- 定期購入のみとして販売するかどうかを選択する
- 商品を定期購入のみとして販売する場合は「この商品を定期購入のみで販売する」にチェックを入れる
- 商品を一度限りの購入と定期購入の両方で販売する場合は「この商品を定期購入のみで販売する」のチェックを外す
代表的な継続課金システムは?
- Square:個人事業主やスモールビジネス向け。発生するのは決済手数料のみで、初期費用ゼロで利用できる
- VeriTrans4G:国内最高水準のセキュリティを提供する課金システムで、基本的なオンライン決済に加えてメールリンク決済や他通貨決済にも対応している
- サブスクペイ:豊富な決済方法と柔軟な課金周期を提供しているシステム。決済手数料は業界最安値の2.5%に設定されている
継続課金システム導入の注意点は?
課金システムを導入する際は、特定商取引法(特商法)に基づいた適切な表示を行うことが重要です。定期購入やサブスクリプションでは、契約条件の明示が不十分だとトラブルにつながる可能性があります。
文:Momo Hidaka





